無料のゲーム開発ツール「ウディタ(WOLF RPGエディター)」の基本的な使い方を、初心者さん向けに紹介するこの企画。
今回は、コモンイベントの基本的な使い方についてです。
まだウディタに慣れていない初心者さんの場合、何ができるのか少しわかりにくい機能ではないでしょうか?簡単なイベントを作りながら特徴を解説しますので、一緒にやってみましょう!
現在公開中の講座をまとめたページ。「ウディタのことがよくわからない」「簡単な機能から覚えたい」などの初心者さんは、初期の講座から読むのがおすすめです。
公式サイトにはウディタの使い方を詳しく解説している、マニュアルやガイドが公開されています。ウディタを学ぶ際の必須となる教科書です。ぜひ参考にしましょう。
目次
ウディタの「コモンイベント」とは?
どこのマップでも実行可能なイベントのことです。
ウディタ初心者さんにとってはマップ上に直接配置する、「マップイベント」の馴染みが深いと思います。
しかし、マップイベントだと配置したそのマップでしか実行されません。
「他のマップでもそのイベントを実行したい!」といった場面で活躍してくれるのが、コモンイベントなんですね。
その便利さを知るために、今回は簡単なイベントを通じてコモンイベントの特徴を解説してみます。
【この講座を参考にする前に】
やさしいウディタ講座では「サンプルゲームのData」を使って解説しています。「空データ基本システム入りData」でやっても大丈夫ですが、後者のDataにはグラフィックなどの素材があまり入っていません。講座の解説どおりにできない場合も考えられます。もし素材が足りなければサンプルゲームのDataフォルダ内にあるファイルをコピーし、同名のフォルダ内に入れておけば対応可能です。
【準備】2つのマップを作っておく
コモンイベントが別のマップでも機能するのを知るために、まず2種類のマップを作ります。
作成する2つのマップは適当で構いません。小さなサイズのマップでも大丈夫です。
マップの基本的な作り方は「やさしいウディタ講座1:マップを作ってみよう」を参考にどうぞ。
今回の講座用に作ったマップは以下の2つ。
「コモンマップA」
「コモンマップB」
後はそれぞれのマップにマップイベントを設置。
- コモンマップAには、ニワトリのキャラ
- コモンマップBには、子供のキャラ
キャラを各1名ずつ、マップイベントとして置いてみました。
決定キー(Enter)で話しかけたらコマンドを実行させるので、起動条件を「決定キーで実行」に設定。
また、お互いのマップを往来できると、テストプレイで内容を確認するのに便利そうです。
マップの出入り口付近に「場所移動」のコマンドを入力したマップイベントを作り、主人公キャラが行き来できるようにしてみました。
別のマップへ移動するイベントの作り方は「やさしいウディタ講座4:操作キャラを別マップへ移動させる」を参考にどうぞ。
最初の「H イベント制御」から入力できる「動作指定」コマンドについては、主人公キャラの向きを正面ではなく上向きにするためです。自然な演出にするだけのものなので、別に無くても大丈夫。
テストプレイですぐにこのマップに行けるよう、主人公キャラの開始位置を変更。コモンマップAの適当な場所で右クリック→「ゲーム開始位置に設定」で可能です。
同じセリフを言うイベントキャラを2つのマップに作る
新規でオリジナルのコモンイベントを作る
- 「コモンマップA」のニワトリ
- 「コモンマップB」の子供
それぞれのキャラに対して決定キー(Enter)で話しかけたとき、「こんにちは!」とあいさつしてくれるイベントをコモンイベントで作ってみましょう。
エディターのアイコンメニューから「コモンイベントの設定」を選択。専用画面を開きます。
画面左側、「コモンイベント一覧」を下にスクロール。「以下、自由に使用可」以降の空いている行に、新しいコモンイベントを登録。
行が足りなければ、「データ最大数の変更」ボタンをクリック。データ数の最大値を増やせば使える行が増えます。
今回は222に「あいさつ」というコモンイベントを作りました。
行を選択した後、画面右側の「名前」の欄に「あいさつ」と入力。これでコモンイベント名をつけられます。
メモの欄は自由に入力が可能。ゲーム内容に影響しませんので、管理用として使ってみてください。
コモンイベントに文章表示のコマンドを入力
メモの下にある、大きなスペースはコマンド欄。ここに入力した各イベントコマンドを実行できる仕組みです。
- 空白行をダブルクリック。
- 「イベントコマンド入力ウィンドウ表示」ボタンをクリック。
- 右クリック→「挿入ウィンドウを開く」を選択。
上のいずれかの方法で、イベントコマンド画面を開くことが可能。自分にとってやりやすい方法を選んでみてください。
キャラに話しかけたら相手が返事するイベントなので、「1 文章の表示」コマンドを使います。
「こんにちは!」の文章を打ち込んだら、入力ボタンをクリック。
コマンド欄に文章の表示コマンドを入力できました。
コモンイベントの「起動条件」を設定
起動条件は4種類。この起動条件を基準に、コモンイベントが実行されます。
「条件」の部分がマッチすれば、起動条件に従ってコモンイベントを実行。条件に使えるのは「通常変数」と「予備変数」です。
ウディタの変数の種類については「やさしいウディタ講座7:変数の種類と使うことのできる範囲」で解説しています。
今回作るコモンイベント「あいさつ」は、マップイベントのコマンド欄から呼び出して起動させます。なので「呼び出しのみ」を指定し、画面下部のOKボタンをクリックしてコモンイベントの変更内容を保存してください。
また、コモンイベントの各起動条件については、以下のとおりです。
【呼び出しのみ】
マップイベントのコマンド欄から(コモンイベントをコマンドとして入力)、またはデータベースの設定から呼び出した場合のみ実行。
【自動実行】
条件にマッチしたとき、コモンイベントを最優先で実行。条件に当てはまっている間、どこにいても常に実行するのが特徴。自動実行中は他のイベントの実行が止まります。しかし、並列実行の別イベントについては、同時に実行されます。
【並列実行】
条件にマッチした場合に実行します。他のイベントが実行中でも同時に実行できるのがポイント。
【並列実行(常時)】
条件に関係なく、常に並列実行させたいときに指定します。
それぞれのマップイベントに同じコモンイベントを入力
コモンマップAとコモンマップBの各マップイベント「ニワトリ」と「子供」に、イベントコマンドを入力します。
「ニワトリ」と「子供」、どちらでも良いのでマップイベント画面を開いてください。画面右側にあるスペース、コマンド欄で作業開始。
イベントコマンド一覧から「I コモンイベント」を選択します。
「イベントの挿入」にチェックを入れ、プルダウンメニューから先程作ったコモンイベントを指定してください。今回の例だと「コモン222:あいさつ」を選べば良いですね。
設定が終わったら、入力ボタンをクリック。
コマンド欄にコモンイベントが入力されていれば大丈夫。セーブして保存しましょう。
もう1つのマップイベントにも、全く同じ内容でコモンイベントを入力すれば作業は完了です。
テストプレイで確認
実際にゲームをプレイして、コモンイベントの動きを確かめてみましょう。
テストプレイ開始!まず、コモンマップAの「ニワトリ」に決定キー(Enter)で話しかけます。
コモンイベント「あいさつ」に入力した、文章の表示コマンド「こんにちは!」が表示されていますね。特に問題なし。
次に、コモンマップBへ移動。「子供」に話しかけてみます。
コモンマップAのニワトリと同じセリフ。うん、成功です。
こんな風に、コモンイベントを利用すれば複数の場所に使い回せるというわけ。それぞれのマップイベントに全く同じ内容の文章の表示コマンドを、1つずつ入力する手間が無くなります。
【実験】コモンイベントのセリフを変えると?
さらにコモンイベントの機能を実験。
今回作ったコモンイベント「あいさつ」に入力した、文章の表示コマンドの内容を変えてみましょう。
文章の表示コマンド部分をダブルクリックすれば、修正画面が出ます。
「こんにちは!」を消して、「こんばんは。」を入力。
作業はたったのこれだけ。
セーブして保存したら、再びテストプレイ開始。
マップ間を移動して、ニワトリと子供に話しかけてみましょう。
コモンマップAのニワトリの場合。「こんにちは」のセリフが「こんばんは。」に変わっています。
コモンマップBの子供の場合。コモンマップAのニワトリと同じく、セリフが「こんばんは。」に変わっています。
どちらも「こんばんは。」とあいさつしてくれましたね!
1つのコモンイベントの内容を書き換えただけです。たったこれだけの作業で、このコモンイベントを入力した場所の全てに、即反映される仕組みがわかったでしょうか?
「複数の同じコマンド内容を一気に変えることができる」
コモンイベントを使うメリットはコレ。
今回の例はあまりにも単純なイベント内容だったので、コモンイベントの恩恵がわかりにくかったかもしれません。
たぶんウディタに慣れてくると色んなマップイベントを作り続けていて、同じ作業の繰り返しにうんざりしてくる場面が出てくると思います。
そんなときに、コモンイベントが役立つはずです。
次回の講座は?
やさしいウディタ講座31はここまで。
次回の「やさしいウディタ講座32:コモンイベントの設定「入力」で表示を切替」では、コモンイベント画面の「入力の数/結果を返す」の部分で出来る、特殊な設定を使ったイベントを解説します。
今回作ったマップとマップイベントを使い回していますので、そのまま残しておくとスムーズに進められると思いますよ。
※全講座の目次ページはコチラ。