無料のゲーム開発ツール「ウディタ(WOLF RPGエディター)」の基本的な使い方を、初心者さん向けに紹介するこの企画。
今回は、タイトル画面についてです。ウディタのゲームを起動したとき、最初に表示される画面ですね。簡単な作成方法がありますので、それについて解説しましょう。
現在公開中の講座をまとめたページ。「ウディタのことがよくわからない」「簡単な機能から覚えたい」などの初心者さんは、初期の講座から読むのがおすすめです。
公式サイトにはウディタの使い方を詳しく解説している、マニュアルやガイドが公開されています。ウディタを学ぶ際の必須となる教科書です。ぜひ参考にしましょう。
目次
ウディタのサンプルゲームのタイトルイベントを使う
一から作っても構いませんが、ウディタに入っている「サンプルゲーム」で使われているタイトル画面がシンプルで使いやすいです。
これを使いまわすのが一番簡単。
サンプルゲーム「タイトル画面」のマップイベントがこちら。「00:タイトル用イベント」という名前がついています。
上のマップイベントを丸々コピーし、自作のタイトル用マップに貼り付けちゃいましょう。その後、コマンド欄を少しカスタマイズして、オリジナリティを出します。
簡単なカスタマイズで、下のようなタイトル画面にすることも可能です!
画像はフリー素材を使用。タイトル部分は文字列をピクチャにして表示。選択肢ウィンドウをやや上にずらして表示…といったカスタマイズの例です。
サンプルゲームのDataで開発している場合
データ集にある「空データ基本システム入りData」などではなく、「サンプルゲームのData」を使いまわしてゲームを開発している人向けのやり方です。
サンプルゲームのタイトルマップに何も手を加えず、初期状態で保存しているのなら、とても簡単にコピーできます。
先に、自作のタイトル画面用のマップを新規作成しましょう。
この段階ではマップを作るだけでオッケーです。マップイベントやマップチップなど配置する必要はありません。デフォルトの真っ暗な画面のままで大丈夫。
基本的なマップの作り方は「やさしいウディタ講座1:マップを作ってみよう」を参考にどうぞ。
続いて、マップを「サンプルゲームのタイトル画面」に切り替え。「0:タイトル」が該当します。
マップ「0:タイトル」内にあるマップイベントを1回クリックした後、右クリック。メニューから「イベントコピー」を選択。
そのままの状態で、先程用意した自作のタイトル画面にマップを切り替えます。
マップ内の適当な場所をクリックし、右クリック。メニューから「イベント貼り付け」を選択。
これでイベントをそっくりそのまま配置できます。
貼り付けたマップイベントの中身をチェック。起動条件の部分が「自動実行」になっているか、一応見ておいてください。
サンプルゲームのマップイベントが無い場合
- サンプルゲームのDataで開発してるけど、邪魔なので消しちゃった。
- 「空データ基本システム入りData」で開発している。
…などの人は、サンプルゲームのタイトルのマップイベントが存在しない状態。手を加えずに保管してあるサンプルゲームのDataが残っているなら、そのDataから引っ張り出す作業を行います。
【サンプルゲームのDataがどこにもない場合】
ウディタを再ダウンロードし、サンプルゲームのDataを取得してください。
再ダウンロードで今までのデータが消えると困る場合、Data関連のフォルダを別の場所へ一時的に移動させたら、再ダウンロード後のウディタフォルダに入れるだけで使えます。
消したくないセーブデータがある場合も、同じようにやればたぶん大丈夫。
手を加えていないサンプルゲームのDataフォルダを開きます。
ウディタのインストール直後に存在する「Data」と書かれたフォルダが、サンプルゲームのDataフォルダに該当します。これを別の場所に保管するためにコピーし、フォルダ名を変更しておいた例が、上の「Data_サンプルゲーム」です。
今回はこの中身を見てみます。
「MapDataフォルダ」をクリック。
「TitleMap.mps」ファイルを選択してコピー。(名前を変えたり削除したりしないよう注意!)
サンプルゲームのDataから離れ、自作のタイトルマップを作った現在使用中のDataフォルダを開きます。
MapDataフォルダの中に、先程コピーしたTitleMap.mpsファイルを貼り付け。もし同じ名前のマップファイルがすでにあるなら、少しファイル名を変えておくと良いです。上書きはダメ!元のマップファイルが消えてしまいます。
次に、ウディタのエディターを起動。
システムデータベースを開きます。「0:マップ設定」を選び、データの部分で元のサンプルゲームのタイトル画面だとわかるようにタイトルをつけ、登録します。
画面右にある「マップファイル名」の「File」ボタンをクリック。先程コピー&貼り付けしたマップファイルを選んで登録。
OKボタンを押して保存します。
マップ選択画面を開き、データ更新ボタンをクリック。システムデータベースに登録したIDのマップが出てくるので、そこをクリック。
ここまでの手順で、サンプルゲームのタイトルマップを取り込めているはずです。
後は、サンプルゲームのマップイベントをコピー。自作のタイトルマップへ貼り付けるだけで作業は終わりです。
用が済んだら、取り込んだサンプルゲームのマップを消してしまっても構いません。
状況によってはゲーム起動後のタイトル画面でバグが発生するかもしれません。でもたぶん画像ファイルが見つからないとか、その程度の問題なので、あまり気にしなくても大丈夫です。
これから解説する、コマンド欄のカスタマイズをやれば自然に解決するでしょう。
主人公キャラの初期位置を決める
ゲームがタイトル画面から必ずはじまるよう、主人公キャラの初期位置を自作したタイトルマップに設定します。
右クリックから「ゲーム開始位置に設定」を選択。たったのこれだけです。
「やさしいウディタ講座2:人を配置・看板を調べるイベントの作り方 – 主人公キャラを自作マップ上で操作できるようにする」でも解説しています。参考にどうぞ。
コマンドをカスタマイズする
コピーして貼り付けたマップイベントのコマンドを見ると、文字やコマンドがズラッと並んでいるのがわかると思います。
緑の文字は「コメント」。メモみたいなもので、コマンド実行に影響しません。ウディタ製作者さんによってとてもわかり易く解説されていますから、そのまま残しておいても良いと思います。
コマンド欄の中でカスタマイズしたい部分は、主に以下の3つの部分です。
- ピクチャ表示
- 場所移動
- 回数付きループ1回で囲まれた部分
他の部分も必要に応じて、変更もしくは追加・削除します。
ピクチャ表示を変える
ピクチャ表示は、タイトル画面の画像を表示するコマンド。
コマンドを実行すると、サンプルゲームのタイトル「WOLF RPGエディター」の画像が出ます。自作ゲームには不要な画像です。
自分で用意した画像やタイトル名に変更しましょう。
イベントコマンドの「A ピクチャ」で設定します。元々あるピクチャ表示のコマンド部分をダブルクリックしてください。ピクチャの修正画面が出ます。
過去講座「やさしいウディタ講座27:ゲーム画面に好きな画像を表示する」を参考に作ってみましょう!
画像を用意するのがめんどくさい場合、地味ですけど、文字列をピクチャとして表示させるのが簡単かもしれません。
画像サイズと表示倍率に注意!
320×240の画面サイズで開発している場合に限り、画像が2倍に引き伸ばされて表示されるため、画質が少し落ちます。
キレイに表示させたいなら、画面サイズの倍の640ピクセル×480ピクセルで画像を用意。ピクチャの設定で、拡大率を50%に縮小するのがおすすめ。
また、主人公キャラの姿が邪魔な場合は、ピクチャ番号を1~99999の間で設定しましょう。不透明な画像で覆い隠せばプレイヤーに見えません。
ピクチャ番号の意味は「やさしいウディタ講座28:ピクチャで設定する画像表示の基本技 – ウディタのピクチャ番号と表示順の関係」を参考にどうぞ。
場所移動を自作マップに変更
ニューゲーム(サンプルゲームでは「スタート」)でプレイを開始した後、主人公キャラを登場させたいマップへ移動させるコマンドが「場所移動」です。
これなんですが、コピーした内容のままではサンプルゲームのマップに移動してしまいます。場所移動のコマンドをダブルクリックして修正画面を出し、移動先を変更してください。
「やさしいウディタ講座4:操作キャラを別マップへ移動させる」が参考になります。
不要な演出のコマンドを削除する
「回数付きループ1回」で囲まれた部分に注目。
サンプルゲームをはじめた際、冒頭で主人公キャラのウルファールがプレイヤーに語りかけるシーンの演出で、このコマンドが使われます。
コメントにも書かれていますけど、不要な演出なので削除して大丈夫。
「回数付きループ[1]回~ループここまで」の間にある全コマンドを選択した後、Deleteキーを押す、もしくは右クリックから削除を選んでください。
選択肢の文字を変えたい場合
選択肢コマンドをダブルクリック。修正画面が出ます。
各分岐の文字を好きなものに変えるだけです。追加や削除もできます。
タイトル画像の消去
選択肢の分岐でスタートを選んだ場合、「ピクチャ消去」のコマンドが実行されます。タイトルの画像をゲームから削除するためのコマンドです。
ただし、このコマンドで消去できるのはピクチャ番号「1」の画像だけ。
ピクチャ番号1以外に、タイトル画像を登録したり、複数のピクチャ番号で画像を表示させていたりすると、それらは残り続けます。
場所移動後のマップにタイトルの画像が表示されてしまうので、ピクチャ番号1と同様、コマンド「A ピクチャ」を用いて消去しましょう。
音楽を再生したい
ウディタのDataフォルダにある「BGMフォルダ」内に、再生したい音楽ファイルを入れておきます。続いて、システムデータベースの「1:BGMリスト」に、その音楽ファイルを登録。
エディターのアイコンメニューからマップの基本設定を選んで開き、「登録する」にチェック。再生するBGMの欄で「使用する」にチェックを入れ、ファイルの欄で「1:BGMリスト」に登録した「データのID名」を指定すれば音楽を鳴らせます。
音楽ファイルが無い!って場合は、サンプルゲームのBGMフォルダにいくつか入っている音楽ファイルを使い回すのが簡単です。
その他の各コマンドについて
上のやり方どおりにカスタマイズすれば、ほぼ問題なくオリジナルのタイトル画面を作れるはずです。
ここからはおまけ。上で紹介していない各コマンドについて、軽く解説してみようと思います。
条件分岐「Sys25:現在セーブデータ番号(0~)が1以上」
このゲームのセーブデータの存在を、システムデータベース「6:システム変数名」にある「Sys25:現在セーブデータ番号(0~)」で調べることが可能です。
Sys25の中身が「1以上」であれば、選択肢のカーソルを特定の項目に合わせる条件になっています。
サンプルゲームの例だと、変数操作で「Sys:7選択肢次回初期位置(0,1,2…)」に1を代入すれば、上から2番目の項目「コンティニュー」へカーソルを合わせた状態にできるってことです。
変数操作「Sys4:選択肢ウィンドウY座標=150+0」
スタートやコンテニューなどが書かれたウィンドウは、イベントコマンドの「2 選択肢」で作られています。この選択肢ウィンドウの位置を、デフォルトの位置から縦方向へ少しずらして表示させるための変数操作コマンドです。
位置が気に入らなければ、150の値を変えて代入してください。
横方向へずらしたい場合は、変数操作で「Sys3:選択肢ウィンドウX座標」に数字を代入します。不要になったら「-1を代入」し、デフォルトの位置へ戻しておきましょう。
イベントの挿入:コモン14[各種メニュー呼出]
選択肢から「コンテニュー」、つまりセーブデータのロードを選んだときに発生させるコモンイベントです。
コンテニューを選ぶと、保存されているゲームのセーブデータ一覧画面が出てきます。このセーブデータ一覧画面を作っているのが、コモンイベント14の「各種メニュー呼出」です。
ウディタ製作者さんが予め用意してくれているおかげで、セーブデータ一覧を表示してロードさせるといった、手間のかかるコマンドを自作する必要がありません。
ゲームをロードさせる場合、コモンイベントの設定画面で「-1:ロード画面」を選びます。
このコモンイベントはタイトル画面に限らず、ウディタで作成した他のマップやコモンイベントなどでも使えます。
ゲーム終了
タイトル画面で「ゲーム終了」を選んだ後に実行されるコマンド。「H イベント制御」で入力可能。
このコマンドが実行されると、自動でゲーム画面を閉じます。
プレイヤーがゲーム画面のウィンドウ右上にあるバツボタンを押せば終了させることはできるんですが、バツボタンを押さずに終了させたい場合に便利です。
次回の講座は?
やさしいウディタ講座29はここまで。
次回「やさしいウディタ講座30:ゲームオーバー画面を自作してみよう」では、戦闘不能後に表示される、専用のゲームオーバー画面の作り方を解説します。
※全講座の目次ページはコチラ。