無料のゲーム開発ツール「ウディタ(WOLF RPGエディター)」の基本的な使い方を、初心者さん向けに紹介するこの企画。
今回は、アイテムや武器、防具といった所持品を、増やしたり減らしたりする方法について解説します。
現在公開中の講座をまとめたページ。「ウディタのことがよくわからない」「簡単な機能から覚えたい」などの初心者さんは、初期の講座から読むのがおすすめです。
公式サイトにはウディタの使い方を詳しく解説している、マニュアルやガイドが公開されています。ウディタを学ぶ際の必須となる教科書です。ぜひ参考にしましょう。
目次
ウディタで所持品を増減させる2つの方法
お店イベント以外で物を増減させたい!
ウディタのゲーム内で主人公キャラ(操作キャラ)が所持できる物として、「アイテム・武器・防具」の3種類が存在します。そして、これらを手に入れる一般的な方法が、お店のイベントです。
コモンイベントを使ったお店イベントの作り方は「やさしいウディタ講座19:商品を売買できる「お店」を作ろう」で紹介しています。
しかし、お店イベント以外で物を増減させるイベントを作りたい場面もあると思います。
- 宝箱やツボを調べて、薬草を手に入れた。
- 依頼を達成した後、依頼者からロングソードを受け取った。
- 倒した敵から、探し求めていたアイテムを入手した。
- 怪我をしている人に薬草を渡したら、所持品の薬草が1つ減った。
この他にも、いろんな場面が思い浮かびますね。
さて、ウディタでこれができるのか?についてですが…大丈夫、できます!
簡単でわかりやすいのが、以下で紹介する2つの方法です。
その1:コモンイベントを使う
ウディタの「サンプルゲームのData」、もしくは「空データ基本システム入りData」でゲーム開発している場合に使える方法。
ウディタ制作者さんが予め用意している、「増減系のコモンイベント」を利用します。
自力で作るとなると変数操作など面倒な作業がたくさん出てくるんですけど、ウディタがはじめから用意する専用のコモンイベントを使えば簡単。初心者さんでも手間なく実現できるでしょう。
その2:敵が落とすアイテム等を設定する
敵を倒したとき、落とすアイテム・武器・防具を予め決めておく方法です。ユーザーデータベース「9:敵キャラ個体データ」の「入手アイテム」で設定できます。落とす確率を自由に調整できるのが特徴。
但し、この方法だとアイテムを減らすことはできません。アイテムを増やすとき限定です。
コモンイベント「アイテム増減」を使ったイベント作りの手順
例として、アイテムを増やすイベントで解説します。
RPGっぽく「宝箱からアイテムを入手するイベント」を作ってみましょうか。
サンプルゲームのDataを使って解説します。基本的に「空データ基本システム入りData」でやっても大丈夫ですが、後者のDataにはグラフィックなどの素材があまり入っていません。講座の解説どおりにできない場合も考えられます。もし素材が足りなければサンプルゲームのDataフォルダ内にあるものをコピーし、同名のフォルダ内に入れておけば対応可能です。
マップとマップイベント「宝箱」を作成
まずはマップ作りから。適当に主人公キャラを動かせる場所を用意してください。
マップ作りの基本は「やさしいウディタ講座1:マップを作ってみよう」を参考にどうぞ。
続いて、宝箱のマップイベントの作成です。
エディター画面を「Ev」の状態にし、宝箱を置きたい場所でダブルクリック。
マップイベント画面の設定は、以下のとおりです。
- 好きなイベント名を付けます。今回は「宝箱_1」にしてみました。
- グラフィックは街のタイルセットから、宝箱の画像を選択。
- 移動ルートを「動かない」に。
- 起動条件は「決定キーで実行」。
マップイベントの基本的な作り方は「やさしいウディタ講座2:人を配置・看板を調べるイベントの作り方 – マップの中に人を配置してみよう」を参考にどうぞ。
ここまでやったら一旦セーブし、内容を保存しておくと良いでしょう。
宝箱にコモンイベント「アイテム増減」のコマンドを入力
上で作ったマップイベント「宝箱_1」に、コマンドを入力します。
「宝箱を調べると薬草を入手する」というイベントを作るんでしたよね?ということは、宝箱に薬草を入れておけば良いわけです。
ただ、実際に宝箱の中へ薬草を入れるわけではありません。宝箱といってもゲーム画面上の画像でしかないので、中に物を入れることなどできないからです。
ならばどうするのか?
ウディタのコマンドで、「それっぽく見える演出」に仕上げれば良いんです!(これぞ、ゲーム開発の醍醐味っ)。
そこで出てくるのが、コモンイベントの「アイテム増減」。
宝箱を調べた瞬間、アイテム増減コマンドで主人公キャラ(操作キャラ)の所持品を増やしてあげれば、それっぽくなります。
…実際にやってみましょう。
マップイベント「宝箱_1」の画面右側、コマンド欄で作業します。そこの空白行をダブルクリック、もしくはイベント入力ウィンドウ表示ボタンをクリックしてください。
イベントコマンドの一覧から、「I コモンイベント」を選択。
画面右側で設定を行います。「イベントの挿入」をチェック状態に。すぐ側にあるプルダウンメニューで、「コモン0:○アイテム増減」を選択。たぶん最初から、このコモンイベントが表示されていると思います。
【コモンEv入力(数値)】の部分へと進みます。ここで、主人公キャラの所持品を増やす・減らす設定が可能です。
各項目の意味は以下のとおり。
「アイテム番号」の部分で、増減させたいアイテムを決めます。ユーザーデータベースの「2:アイテム」に登録されているものから選択する仕組み。
※ユーザーデータベースのタイプ「2:アイテム」にて、データに登録したアイテムから選べる。
「増減数[-で減]」は、指定したアイテムの増減数を決める部分。1以上なら増えます。0なら増減なし。-1以下なら所持品から減らせます。マイナス記号も数字も、半角文字で入力すること。
「入手メッセージ」の部分を「あり」にすれば、このコモンイベントが用意する専用の増減メッセージが画面に表示されます。画面に表示したくない、自分で文章を作成したい場合は「なし」を選択。
今回の例では、宝箱から「薬草を2個入手する」内容にしてみました。
- アイテム番号:0:薬草[ユーザ2]
- 増減数:2
- 入手メッセージ:1:あり[単位:~個]
こんな感じで。設定が終わったら、入力ボタンをクリックしましょう。
マップイベント「宝箱_1」のコマンド欄に、コモンイベント「アイテム増減」が表示されていれば大丈夫です。
テストプレイで確認
宝箱から薬草を入手できるのか?テストプレイで確かめましょう。
テストプレイのために主人公キャラの初期位置をこのマップにする場合、「やさしいウディタ講座2:人を配置・看板を調べるイベントの作り方 – 主人公キャラを自作マップ上で操作できるようにする」を参考に、作業してみてください。
宝箱に向かって決定キー(Enter)を押すと…。
薬草入手のメッセージが表示されました。
コモンイベント「アイテム増減」の設定で、「入手メッセージ:あり」にしたのが反映されているかたちです。
続いて、Xキーでメニュー画面を開き、所持品をチェック。
薬草が2個に増えています。
成功ですね!
ちなみに、この宝箱イベント。今の状態だと調べるたびに薬草を2個入手できる、便利な宝箱のままです。これではゲーム内容がヌルすぎてしまうので、1回のみ入手する宝箱イベントにするのも良いと思います。
いろんな方法があります。一例として、以下の方法を紹介しましょう。
薬草入手後、マップイベント「宝箱_1」のセルフ変数を操作。そのセルフ変数をページ2の起動条件にします。ページ2の内容は、グラフィック無し&コマンド無しに。これで1回限りの宝箱に仕上げることが可能です。
やり方は「やさしいウディタ講座5:変数を使ってイベントを変化させよう」が参考になります。
その他、条件分岐を駆使する方法なんかも使えそうです。自分好みの演出に仕上げてみてください。
「武器」と「防具」を増減させるには?
武器ならコモンイベント「武器増減」、防具ならコモンイベント「防具増減」を使いましょう。
コモンイベントの種類が変わっただけで、「アイテム増減」と基本のやり方は一緒です。
※コモンイベント「コモン1:○武器増減」
※コモンイベント「コモン2:○防具増減」
敵が落とすアイテム・武器・防具の設定方法
次に敵を利用して物を入手する方法ですが、ユーザーデータベースで予め設定しておけばできます。やり方を解説しましょう。
ユーザーデータベースを開く
エディターのアイコンメニューにある「ユーザーデータベース」をクリック。
ユーザーデータベース画面の左上にあるタイプ一覧から、「9:敵キャラ個体データ」を選択します。データの部分で物を落としてほしい敵を選びましょう。
今回は「0:コウモリ」でやってみます。
落とすアイテムの種類を決める
画面右側のページ1に、ズラッとたくさんの項目が並んでいると思います。下の方を見ると、「入手アイテム」「入手武器」「入手防具」の項目があるはず。ここで敵を倒したときに入手できる物を設定可能です。
例として、入手アイテム「癒しの水」を選んでみました。ユーザーデータベースのタイプ「2:アイテム」に登録されているものから選択する仕組みです。
「入手率」は敵が落とす確率のこと。この数字が高いほど入手しやすくなります。ちなみに入手率100%にすればその敵を倒した後、必ずそのアイテムを落とします。
何度もテストプレイを重ね、好みの確率になるよう調整してみてください。
作業が終わったらOKボタンをクリック。内容を保存しましょう。
テストプレイで確認
テストプレイでコウモリと戦ってみます。
敵が全滅した後、お金や経験値の入手画面が登場。運良くアイテムを落とせば、同じ画面に入手アイテムが表示されます。
次回の講座は?
やさしいウディタ講座20はここまで。
次回「やさしいウディタ講座21:選択肢コマンドでお店イベントを作る」では、ここまでやってきた講座の復習的な内容です。選択肢を使ったお店の作り方を解説します。かなりボリュームがありますので、少しずつ読み進めてみてください。
※全講座の目次ページはコチラ。